ベガスでロシア人を撃つな

【映画】さんかく

さんかく 特別版(2枚組) [DVD]

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とにかくキャストが素晴らしかった。高岡蒼甫田畑智子小野恵令奈も最高だった。キャストの素晴らしさだけで出来上がっている映画といってもいいくらいだけど、まさに映画という形態でしか実現できない表現が行われているという意味で、それがこの映画の素晴らしさに直接繋がっていると思う。

この映画における最大の破壊兵器といってよい要素は、何と言っても中学3年生の桃役を演じる小野恵令奈だ。大人でもない子供でもない、一生のうちでこの年代の一瞬にしか出せないセクシーさを非常にうまく捉えている。

自分の性的価値の破壊力を自覚し始めた年頃で、時にうまくコントロールできない(憧れの先輩相手に控え目にしすぎたり、逆に開放しすぎてチカンにあったり)ながらも、そのパワーを無駄遣いすることをやめられない。終盤部に高岡蒼甫演じる百瀬に「なぜキスしたんだ、子供じゃないから分かるだろ」と詰め寄られ、「いや、子供なので・・・」と確信犯的に返す場面はこの映画のハイライトだと思う。男のダサい趣味を褒めてあげる、盛り気味なやんちゃエピソードに感心してあげるなど、男に好かれる方法論を身体感覚レベルで体得しているタイプの恐ろしい少女を(たぶん偶然に)上手く演じ切っている。

小野恵令奈演じる桃が人に好かれる技をコントロール出来ないのに対して、田畑智子演じる姉役の佳代は人を好きになる気持ちをコントロール出来ない。結果ストーカーに発展してしまうのだが、依存にいたる萌芽はその手前の嫉妬の段階ですでに蒔かれている。

この映画は、男が観れば「女ってバカだな〜」と、女が観れば「男ってバカだな〜」と感じさせるんじゃないかと思う。