ミシェル・ウエルベックにはまっている
『服従』を去年の秋頃、翻訳版が出たときに読み、その直後に『素粒子』を読んだのだが、この1週間で『プラットフォーム』『ある島の可能性』『地図と領土』を遡って一気読みした。(『闘争領域の拡大』は絶版になっていて、Amazonでも9,000円以上の値が付いているので一旦スルー。近いうちに文庫版が出るだろうから)
『服従』はかなり面白かったんだけど『素粒子』は読むのが結構きつかった、というのも、『服従』一冊読んだだけでわかるウエルベック的な文体とか、登場人物や三人称視点の考え方の癖、などの濃度が濃すぎ、粘度が強すぎて、あまり夢中になってページを繰り続けられる感じではなかった。
素粒子を読んでいる途中に、西新宿のブックファーストで『地図と領土』のハードカバーを見かけたので買っておいたのだが、素粒子読了後は手をつける気にならず積んだままになっていた。読む本がなくなったのでぱらぱら読み始めてみると、これがかなり面白く、結果的にウエルベックで一番好きな小説になった。
『地図と領土』はポップだし、ストーリーの起伏も(かなりあざといくらい)乱高下して目が離せない感じになってる。作中に出てくる「シンプルな職業シリーズ」という絵画の発想も面白いし(「ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズ、情報科学の未来を語り合う」「ダミアン・ハーストとジェフ・クーンズ、アート市場を分け合う」とか)
人にすすめるときは『地図と領土』にしよう。
日記2016/04/27
引っ越し屋が部屋の電灯を運んでくれなかったので(僕がいちいち指示をしなかったという理由で運んでくれなかった)、リビングの照明をホームセンターに買いに行った。
いろいろ選んでいるうちに、電灯から放たれた光が空間のどの程度の範囲まで照らすのか、要するにどの大きさの部屋までならまともな明かりとして機能するのかを指し示す「全光束」という概念が存在するらしいことを学んだ。全光束は「ルーメン(lm)」という単位で示され、今まで生きてきて一回も気づかなかったのが不思議だが、あらゆる電球や蛍光灯の箱に必ず記載されているものだ。
大体6畳のワンルームだと2700~3700ルーメンが適切で、12畳(1LDKのリビングくらい)だと4500~5000ルーメンほど必要なようだ。(参考)
以前の部屋は7畳くらいの1Kの部屋だったのだが、イケアで買ったやや洒落た電球の明るさがいまいちで、部屋の天井の中央に取り付けているにもかかわらず間接照明のような様相を呈していた。
一人住まいだったのでまあいいかと思いつつ、北欧で作られてるからこの程度の明るさ(=暗さ)なのであり、スウェーデン人の網膜にはちょうどいいのだろうと考えていた。あらためて箱を見てみると、この電球はわずか400ルーメンしかないらしく、はっきりいって玄関かトイレくらいしか満足に照らせない代物だということがはじめて分かった。ワンルームの天井に取り付けたところで暗すぎるのは当然で、スカンジナビアの日光環境ですらどう考えても不十分、洞窟か下水道であればありがたい程度のものだったらしい。
とりあえず今回は、引越し先の正確な広さはわからなかったものの12畳はあるので、シーリングライト(丸い蛍光灯にカバーがついてるようなやつ)を買った。
12畳用は想像してたよりめちゃくちゃ高かったので(ありものの電球に、ソケットとしゃれたカバーで3,000円くらいかなと元々想定してた)、いちかばちかで4,000ルーメン(箱には最大8畳とある)のものを買った。取り付けてみると実際十分な明るさだったのでまあ、よかったかなあ。
日記2016/04/25
一日中引っ越しをしていた。
日記2016/04/23
今日は引っ越しのために南砂町のニトリにいろいろ買い物に行った。
ダブルベッドを買うのでそのフレームが第一目的。シングルだとパイプフレームで1万円以下がニトリだと普通なのだが、ダブルだと相当相場が高くなる。最安で18,000円からあったが、人気なようで入荷待ちだった。まあニトリの客層からしてそうだろう。
他は3万円以上が基本で、その中でシンプルなデザインのものを購入した。ちょっと作りがヤワな感じで、ベッドの背もたれ(?)の部分に寄りかかって読書とかしてるとバキッといきそうな感じ。
他には二人用のダイニングテーブル(ここで食事だけでなくMacBook Airをカタカタやったりしたい)、縦40x横100くらいの細長いデスク(ベッドルームの書斎として使いたい。引越し先のベッドルーム、1LDKの ”1” に当たる部屋は、窓の外に木が張り出していて、かつ表通りにも面していなくて非常に集中して作業できそうなロケーションだ)、キッチンの冷蔵庫横のスペースに置く食器棚などを購入した。
ニトリに行くために行った南砂町は非常に住みやすそうな街で、将来引っ越したいと思った。道も広く、団地だらけで地元の田舎に似ている。治安も別に悪くなさそうだ。
ところで、僕はあまり「治安」というものを気にしないというか、住む場所を決めるための判断基準の優先順位上位に置かないタイプだ。
学生のころバックパッカーで東南アジア、ヨーロッパ、中東の「治安が悪い」とされる地域を歩きまわったり寝泊まりしたりした経験が影響しているのだと思われるが、それ以外にも、危ない目にあったら常に持ってる携帯で警察呼べばいいじゃんという考えがあるということもある。
あとは、なんというか科学的でないというか、つまり「治安が悪い街での死亡率」より、自動車にひかれる確率とか、親兄弟に恨まれて殺される確率のほうが統計的には高いんじゃないかという認識も影響していると思う。
日記2016/04/22
昼は引っ越しの準備のため、水道ガス電気などの手続きをした。
この手のインフラ系の手続きは、まあ自明のことだが煩雑かつ面倒すぎる。ネットでの手続きさえ面倒だ。コンバージョンレートが上がるように入力フォームを最適化するという概念がなく、電話番号に至っては合計2000000000回も入力させられた。
「お客さま番号」とかいう、紙(!)で送られてくる明細書を確認することでしか取得できない情報の開示を強制され、結局わからなかったので(だって次の締め日以降じゃないとどうやってもわからない)、電話をかけて教えてもらうことで、電話代と自分の人生の一部を非効率で化石のような悪しき帝国主義的官僚システムに奪われる結果となった。2016年にもなって、紙(!)で送られてくる書類を見なければ先へ進めないシステムに苦労させられるだなんて思わなかった。夢の21世紀はまだまだ遠いようだ。
また、東京ガスなどは、ガス開栓立ち会いの手続き中に、さりげなく自社の電力サービスに契約させようとしてきた。
まあそれ自体は、こんな時代遅れの共産主義の亡霊みたいな企業ですら営業努力せざるを得ない時代になったかと思ってある意味感動したのだが、同時に電力自由化によって、これからはこういうことに直面するたびにいちいち、各社の情報を仕入れてカモられてないかどうか調べる手間が発生するのだなと暗い気分になった。。。
まあ長期的には価格の押し下げとかサービスの高品質化という形で、エンドユーザの利益になっていくんだろうけども。と考えると、そのへんの<利益>が明確に顕在化するまでは、下手に調べ尽くしてより安いところと契約しようとするような無駄な努力は避けるべきだなと思った。どうせ市場が均衡するまではしょっちゅうサービス内容が変わったりするんだろう。
時間が経てばまとめサイトの質も上がって情報収集コストも下がるというのもある。でもどうせコモディティ商品なのでいつまでたっても差別化できずに下らんバンドリング販売やレ点商法が横行して、「明確な利益」が顕在するまでは相当に時間がかかるはず。まあ、電力自由化については特に何もせずにじっとしておこう。企業にとって自由化しただけでユーザにとっての自由は特に増えてはいないのだから。
あとフレッツ光はネット上で手続きできず、電話でしか受け付けていないとのこと。しかも受付時間は「9時ー5時」。働いてたら手続きできないじゃん。。。
5時前に電話したら延々待たされたし、昼休みの時間を使って手続きとかも無理そう。こんな仕組みじゃどうせコールセンターのリソースも足りてなくて、どの時間帯にかけても長時間待たされるハメになるんだろう。
改めて思うけど、こういう中世レベルの生産性が許されている状況どうなのという感じ。その辺の潰れそうなWeb制作会社に(この規模の大企業からしたら)ほんの端金を払うだけで、この種の非効率を一掃できるはずなんだけど、そうしないほうがメリット大きいのかなあ。